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株式会社Moimoiファーム様

株式会社Moimoiファーム様


水稲が盛んな新潟県にある「株式会社Moimoiファーム」様は、元々5軒あった酪農団地で離農が進んだ後、その場所をそのまま活用する形で搾乳ロボットVMS™V300を導入されました。既存の建物はそのままに、人手を増やさず経営を行っていらっしゃいます。

  • 名称:株式会社Moimoiファーム様
  • 搾乳システム:VMS™V300 1台
  • 従業員数:6名(堤富士人代表取締役、畔原健太場長、従業員2名、パート2名)
  • 飼養頭数:130頭

    ※牧場名でもある「Moimoi」はフィンランド語で「やぁ!」という意味とのこと。
    ※2025年1月取材時現在。

そもそも、なぜ「搾乳ロボット」を選択されたのでしょうか?

ここは元々全部で5軒の酪農家が入居していた酪農団地でした。
しかしさまざまな理由から1軒、また1軒と離農していく酪農家が出て来て、都度空いた施設は乾乳舎などとして活用していましたが、いよいよ3軒目の離農が決まり牛舎が空いて、規模拡大の検討を始めました。

ただし、「人手は増やさずに効率の良い経営を行っていきたい」。そう思って、搾乳ロボットの導入を検討したのがきっかけです。
私たちは既存牛舎に搾乳ロボットを設置しています。もちろん、既存牛舎自体のレイアウトは、搾乳ロボット用に作られていたわけではありませんでしたので、そもそも導入が可能か相談してみたところ、改造は必要だができそうだ、ということになりました。
 
 前モデルの検討・導入にあたって考えていたこと

搾乳ロボットの導入を検討する上で、関東圏のロボット稼働牧場へ視察したり、デラバルの担当者ともよく話をしました。
既存牛舎はフリーストールもありましたが、メインは繋ぎ飼いでした。そこで飼養している牛もロボット搾乳に移行するつもりでいたので、正直なところ「牛は動かないかもしれないな」と感じていました。
繋ぎ飼いの牛にとってロボット搾乳は大きな変化ですから、苦労はあるんだろうなと思っていました。
 
 
いざ稼働開始!実際はどうだったのでしょうか?
そんな我々の杞憂もよそに、牛たちは非常にスムーズに適応してくれました。想像以上に適応してくれたので、導入当初に立ち会ってくれた皆さんからも「結構スムーズだね」と言ってもらえていました。
もちろん、搾乳システム自体が変わったことは大変なことでしたが、想像していた以上にスムーズな立ち上がりだった印象が強く残っています。

牛より苦労したのは人間の方だったのかもしれない。

畔原場長:
現行のV300の前モデルは、我々が搾乳ロボット自体を操作することが初めてだったこともあり、稼働初期はどんなアラームにも対応して翻弄されていました。
もともと機械はあまり得意分野ではなかったので、自分自身が慣れることに苦労しましたね。
この経験があるので2モデル目となった現行機種VMS™V300では、どのアラームなら重要度・緊急度が高いのか、これなら翌朝早めに来て対処すれば大丈夫かな、ということが判断できるようになったので楽になりました。

トラブルもいざ実際に発生して、自分で対処してみないと単純に解決方法を聞くだけでは覚えられないと感じています。自分自身で実際に機械を見て、どこに問題が発生したのかを学ぶことが一番の近道でした。
搾乳ロボットの導入後、当初の「現在の人手で効率的な経営をする」という目標を無事叶えて今に至ります。
 
 
V300への入替という大きな決断。

堤社長:
世界情勢も不安定な中、物価上昇も気になっていました。
当初思っていたのは、あと3~4年は前モデルを使用してトータル14~15年が経過してから、入替を検討しようと思っていたのですが、世界情勢や物価上昇も今後いつまで続くかわからない、という先行き不透明な現状において、少し時期は早くなりましたが、今のうちに入替を決断しました。
資材なども含め、経営を圧迫する要因などもどんどん増えていますので、大きな投資になる搾乳ロボット入替は、資金繰りもしっかりと見越した上で決断しました。
 
 
VMS™V300に入替をして助かったところはどんな点でしたか
「ティーチング作業がない」(ロボットに乳頭配置を登録する)というのは非常に助かりましたね。前モデルでは必要でしたが、V300の場合は本体が稼働してしまえば、牛はそのまま入るだけで良い。手間がかからないので、非常に楽でした。

また、実際の搾乳時間も牛が入ってから出てくるまで、約2~2.5分程度早くなりました。これは、前モデルとの圧倒的な違いだと思います。
ミルカー装着までのスピードも格段に速くなったし、前モデルとほぼ同じように搾乳していますが、乳量が2,3kgくらい増加しました。
餌を変えたわけでもなく、かつ搾乳時間が短くなっており、前搾りでオキシトシンが出て乳が出るタイミングから搾り始めるので、きちんと搾り切れているんだと思います。

装着可能な乳頭配置が圧倒的に増えた。

前モデルだと乳頭配置によっては、カップ装着が難しい牛がいました。そういう牛は予め自分自身で配置を確認して「これではカップ装着は無理だろうな」とわかりきっている牛は、最初から手搾りに連れて行かざるを得なかったこともありました。

しかし、VMS™V300なら「意外とこんな配置でも装着できるんだ」というロボットで搾乳できる牛の選択肢が広がりましたね。
VMS™V300導入前にも県外の牧場を視察させてもらいましたが、その際にも「こんな乳頭配置でも搾乳できるんだ…」と驚いた記憶があります。
想像していた以上にどんな乳頭でも装着していたし、むしろこんな配置でもロボット搾乳牛として入れているんだ、と関心しました。
 

VMS™V300の実際の稼働の際には?

前モデルですでに搾乳ロボットによる運営を経験しているので、V300の実機を見たときにこれならいけるだろう、と思いました。
もちろん最新モデルなので、間違いなく「良い機械」になっているということは前提としてですが、期待はしていましたね。
カメラの性能が向上したことも聞いていたので不完全搾乳が減るだろう、と予測していましたし、搾乳可能な乳頭配置の幅が広がっていましたから。
現在飼養している牛は、ロボット搾乳をする前提で種を選抜していますが、それでも合わない個体は出てきます。
できれば、ロボットメインで搾乳をしていきたいというのが大前提にあるので、早く頭数を揃えていきたいと思っています。
 
 Q.今後のV300活用に向けて
現在は40頭程度しかロボットで搾乳していないのですが、乳頭配置に関わらず入れられる牛が増えていくことで、目標としている60頭強を早く達成したい。
満杯にしてみて、牛の動きや全体のオペレーションにどのような影響が出てくるか、そこまでは早く見てみたいですね。

乳量の増加はすでに触れましたが、他の導入牧場の視察時にロボットを単体で見るのと、実際に自分の牧場で稼働させて1日の全体の流れの中で見てみるのでは、
搾乳時間も早くなりスムーズだな、という実感を得ています。速く装着できれば、牛も乳を早く出せるようになるだろうなと目論んではいました。
 
直近の目標 
ロボット搾乳の目標頭数は60頭強なのですが、まだ到達していないのが現状です。
そのため、日中でも搾乳許可が出ていない牛が通過してももちろん搾れないので、
その場合は、どうしても牛追いをしなければいけないタイミングが出て来てしまいます。
早朝や人間が来たり、給餌したタイミングで牛たちは一気に飼槽側に出てくるので、その時点で搾乳許可が出て時間が経過している牛は、追い込む時間がどうしても必要になります。頭数がもう少し増えていけば、そういうことも減っていくと予想しています。
現時点では牛追いに必要な時間自体は、増加も減少もしていない状況です。
頭数が増えたら、牛の動きも変わっていくと思うのでそれらを判断して、ロボットの設定も変えていこうと思っています。

乳量=収入が増えていく。経営を回していく上で、ロボットが貢献していること。

前モデルでは、どうしても搾乳頭数を確保して稼働率を上げたかったので、カップ装着が難しい牛のロボット訪問を待って手動で付けていました。
しかし、VMS™V300は比較的どんな牛でも装着・搾乳が可能なので、いちいち待って手動で対応する、という時間がなくなり機械を気にする頻度が圧倒的に減りましたね。ほぼロボットに搾乳を任せられている状態です。

入替によって余裕が出来たことで、他の作業や発情状況の確認などができるようになり、仕事の質の向上に貢献してくれています。
ロボットと言っても機械ですから、前モデルも入れ替える直前はトラブルが少しずつ多くなってきている状況はありました。そのため、ロボットに付いていなければいけない時間も徐々に増加していました。
 
頭数を増やすにあたって必要なこととは。
増頭にあたって、「餌の管理」は重要項目だと捉えています。
繋ぎ牛舎であったこの場所を改造してロボット牛舎にしましたが、建物が出来た当時はロボット導入を見据えた牛舎設計ではないため、60頭弱入れたいと思っていたもののスペース的にギリギリか、少し狭いくらいです。
このような条件下で、全頭に満遍なく給与できるか、飼料設計やタイミング、回数などをしっかりと管理することは非常に重要だと思っています。
現在、給餌の回数は給餌機のキャパシティの観点から1日5~6回程度給与しています。

飼料会社さんからロボット用のPMRを作ってもらい、納品してもらっています。
現在所有している機器では、1回に給与できる量が限られているため、必然的に回数が多くなっていますね。
落とすタイミングや搾乳許可のない牛に給与しても振り分けられてしまうし、ここは実際に目標頭数になってみて動かしてみないとわからない部分はあります。
頭数を増やす上での課題は、そこが大きい部分だと思います。牛が回ってくれないと意味がないので、搾乳許可のタイミングを変えていく、っていうのが次段階かなと思っています。
 
水稲が盛んな新潟県で酪農を行っていく上で、堆肥処理方法とは。

堆肥処理は、この周辺でまかなえてますね。基本的には、田んぼに還元です。
この辺は、畑がほとんどないので堆肥は田んぼに撒くしかないんです。稲作農家と一緒になって田んぼに堆肥を撒く組織を一緒に作り、8~9割を処理しています。
その代わり、秋になったらもみ殻をほぼ無償で提供してもらえるので助かります。
提供してもらったもみ殻は、既存施設の1軒をもみ殻庫にして保管していますが、それでも1年分ないくらいです。
国内の他地域へ行くと、おがくずなどを購入する必要があったりしますよね。
ここでは、むしろ引き取ってくれと言われるので、それはありがたいです。稲作地域ならではですよね。
実際、堆肥なんかも足りないくらいがちょうどいいくらいです。田んぼも撒き方によるんです。今の倍撒いたら足りないくらいで、「本当にどこに撒いたの?」というくらいしか撒いてないのですが、それで丁度良いくらいですね。

酪農運営における心がけ
  
堤社長:
私は昔から日本の農業は、ほとんど外国から輸入した製品を使って行っているのでとにかく生産性を高めて外から入ってくるものを無駄にしない、ということを念頭にやっていますね。

畔原場長:
酪農だからってわけじゃないですけど、農業は人が生きていくために必要な食料を生産しているのであって、なくてはならない産業だと思うんですよね。それに自分たちが携わっている、っていうのは誇りじゃないけど、常に思って作業はしていますし、人様の口に入るものなので常に気に掛けています。

今後の日本の酪農業界をどのように見るか。
 
堤社長: 
元々北陸4県は酪農が盛んな地域ではないので、そこに地震もきて大変な状況です。
生産量が減少して大変な状況ですが、どうやってこのような事態を解決していくか、地域でどのように動いていくのか、北陸酪農業協同組合連合会の会長さんも意識は強いですね。

日本の農業をどうするか?、は日本の農政ですよね。
国が全然タッチしなければ、日本の農業はかなりダメージ受けてどの程度残るんだろう?ということと、本当にそれでいいのか?ということは、国や国民が決めることです。
生産者としては、もうちょっと消費者と繋がる(稲作も畑作も)ことによって理解を得られる、そういう活動をもっと広げていかないといけない。6次産業化っていうのもそうですね。
地元で酪農をやっている意味ってなんなんだろうって、周りの人たちは牛がいていいな、って思うかもしれないけど、臭いはするしうるさいしってことになることもあり得る。
そういう時に色々な人との繋がりがあると、そういうネガティブなイメージが容易に醸成されてしまうリスクを避けることができる。それは大切な活動だな、これからはそういう時代かなと感じます。

現時点では、直接的な消費者とのコンタクトは少ないです。
昔から市町村や県や業界団体ではやっていますが、個々の農家が普段からもっと消費者と接点を持っていかないといけない気がしていますね。農業まつりのようなことは、全国各地でやっていますよね。

新潟市内にある「アグリパーク」というところは、新潟市が中心となり全国初の行政施設として、体験型の農業施設を作りました。主に市内の小学生が農業を学ぶことができ、宿泊も可能です。
酪農や畜産、稲作畑作、ハウス栽培など総合農業体験ができる施設があります。
そこで子供に農業に触れてもらう。そこにうちから牛を貸し出したりもしているんですよ。

畔原場長: 
農場の話をすれば、今のところは搾乳して乳業メーカーに卸しているだけですが、将来的には6次産業化も視野にいれていかないと、生乳生産だけではなかなか収益的にも厳しいかな、と感じています。今後、それを見据えた上での経営を行う必要があるかと。
おそらく、今後軒数自体の増加は厳しいと思います。どこかで酪農家軒数の減少が緩やかになったら、残った人たちで頑張っていくしかない。
なくしてはいけない産業ですし、企業としては利益を出していかないといけないので、色々考えた上でどうするのがいいのか、試行錯誤していきたいです。

 
次世代へのメッセージ

畔原場長:
私自身は、特殊な立場でMoimoiファームで場長として働いています。元々は実家の酪農業を継ぐ予定で専門学校に行き、修行の意味も含めてここに来ました。来てから今で13~4年経過しましたが、その間に家業が廃業してしまって。
じゃ、どうしようか?ということになり、第三者継承という形で次期社長という役割で来ています。
学生時代は、周りに畜産をやっている友人がいなかったのですが、農業関係で働きたいという人もいるんですよね。若い人でも酪農で仕事をしてみたい、という人もいます。働き口としてそういう環境は作ってあげたいです。

やり方次第で、農業ってどんどん伸びしろがあると思うんです。地域との連携なども含めると、やりがいも感じられるので、「明るい未来を自分自身で作れる」という、面白みのある産業じゃないかなと思います。

もちろん興味・やる気があること、は前提ですが、受け入れ先としてきちんと受け入れる体制をサポートしてくれるのを行政に担ってもらえたらいいなと思います。
農業の中でも畜産は若い人が少ないので、若い力は必要不可欠だと思います。どんどん来てほしいですね。

 

※デラバルは、この結果が典型的なものであると主張するものではなく、この情報はサービスの保証を意味するものではありません。実際の性能や改善は、搾乳方法、牛の種類、牧場や牛群のメンテナンス方法など、さまざまな要因によって異なります。

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