分娩から乾乳期まで、適切な給餌戦略を実行するために
飼料は、生乳生産のコストの中で大きな割合を占めており、牛へ効率的に給餌する必要性があります。牛は泌乳期のさまざまな段階において、多様な給餌方法を必要とします。デラバルは、資源を可能な限り最善の方法で管理し、牛群に適した濃厚飼料給餌計画を柔軟に実行できる環境整備の重要性を理解しており、それを製品開発へも活かしています。
デルプロファームマネージャーは、異なる搾乳日数、産次数、乳量レベル、牛群に対して、管理された計画を設定・実行できるように設計されています。重要なのは、これらの違いすべてに、簡単かつ自動的に、そして安全に対応できることです。
牛カード
デルプロファームマネージャーの画面から牛カードの給餌タブ(図1)を開くと、その牛に割り当てられている飼料と、その牛が採食した飼料内容を確認することができます。
図1:デルプロファームマネージャーの牛カードに表示される給餌量の詳細
以下に、画面の中で使用される用語をご説明します。
- 「割当量」:牛が1日に受け取る量を「キログラム単位」で表示します。
- 「目標」:その牛が「x」日以内に牛が採食することになる飼料(目標日数)を示します。
- 「利用可能」:牛がさまざまな場所で採食する際に、供給される飼料を示します(利用可能な飼料は、1日の間に自動的に増加します)。
デルプロファームマネージャーは、手動または定量給餌に加え、自動給餌テーブルを使用して個々の牛の乳量と泌乳ステージに基づいた自動給餌計画を適用し、多様な原理に基づいて牛に給餌することができます。
- 日齢(日)
- 搾乳日数(DIM)・・・Days in Milk(分娩後日数)
- 7日間ピーク乳量
- 7日間平均乳量
- 分娩までの日数(DTC)・・・Days to Calving
チャレンジ給餌:牛のその時点の泌乳ステージに必要な栄養素を給与する
泌乳期を通じて一定の飼料を与える場合、これまで定量給餌では、牛の脂肪の動員を目安にする必要があります。一方、チャレンジ給餌は、牛のその時点の泌乳ステージに必要な栄養素を給与することを目的としています。濃厚飼料を補完的に与えることが多く、飼料の大部分が牧草やデントコーンなどの粗飼料をベースにしている国・地域で一般的に行われている方法です。
この給餌方法の利点は、牛を理想的なボディコンディションに保ち、それぞれの牛に生産能力を発揮する公平な機会が与えられることです。泌乳ピーク期に 1 リットルでも多く生産させることで、1泌乳期あたりの乳量を上げることができます。この計画は、泌乳の各段階に基づいた異なるフェーズに分かれています。
1. チャレンジ給餌は泌乳初期に行われます(下図3内、「適応」と「チャレンジ/ターゲット」部分)。乳量に関わらず、すべての牛に分娩後 3 ~ 6 週間で最大量の濃厚飼料を与え、その後 10 ~ 15 週間にわたり最大量を与え続けるというものです。この方法では、濃厚飼料を制限しないことで、すべての牛がその生産能力を発揮する可能性があります。
2. 第2段階として、各牛の平均的な乳量に合わせた給餌(下図の薄い青で示した部分)が、分娩後約70~100日目から行われるようになります。牛の乳量に合わせた給餌が行われ、泌乳期間の終わりには、「分娩までの日数」に基づいて、戦略的に飼料を減らすことができます。
この方法では、それぞれの牛に個別に給餌することができます。その結果、飼料を節約でき、BCS(ボディコンディションスコア)が高すぎる牛を飼養し続けるリスクを減らすことができます。デルプロは、給餌計画を設定するだけで分娩から乾乳期、そして次の分娩までの乾乳期を通じて、すべての飼料計画の実行をサポートします。
図 2:個体ベースの濃厚飼料を給餌する牛のチャレンジ給餌戦略の概略図
泌乳期のピーク乳量に応じたチャレンジ給餌
デルプロファームマネージャーでは、牛の現在の乳量成績に応じたチャレンジ給餌の期間を設定できるようになりました。これは、泌乳初期のピーク乳量に基づいてフィードテーブルを作成します。
前述の例では、すべての牛に対して固定されたチャレンジ/ターゲット方式のみを使用していますが、現在のピーク乳量を評価し、期待を上回る場合は、牛の飼料給餌量を増やします。
これは、予想以上の乳量を達成した牛の飼料を増やすことに重点を置いており、下図3の「トップアップ」にあたります(図3)。ピーク乳量フィードテーブルでは、この時期に飼料を減らすことはありません(少量増量の希望がない限り)。濃厚飼料を下方調整することは、第2期の計画の一部であることに変わりはなく、平均的な乳量に合わせた給餌です。
分娩から次の分娩まですべての泌乳ステージおけるニーズをカバー
牛は、分娩から次の分娩までのさまざまな泌乳ステージにおいて、特定の飼料要件を満たす必要があります。
デルプロファームマネージャーの給餌モジュールは、すべてのステージにおけるニーズをカバーできるようになりました。デルプロファームマネージャーで利用できるさまざまなフィードテーブルを、分娩から次の分娩までの泌乳期間全体にわたって使用する戦略は、全体的な視点から見ると以下の図3のようになります。
泌乳を開始するには、搾乳日数の長いフィードテーブルを使用して、ビルドアップ戦略を実行します。ビルドアップの後、ピーク乳量フィードテーブルを使用して、牛の現在のピーク乳量に応じた給餌を行うことができます。泌乳中期には、7日間の平均乳量に従って給餌します。
乾乳期が近づくと、飼料を最小レベルまで減らして、牛を自然に乾乳させることができます。または、分娩に向けて乾乳期に濃厚飼料を増量します。このように、デルプロファームマネージャーは個々の牛とお客様の牧場運営計画に合った給餌計画と戦略を実行することができます。
図3:分娩から分娩までの給餌戦略をカバーする組み合わせの飼料表